ぬうん通信

ぬうん通信 vol.82 (2020.11.10.Tue)

うんまちゃん、「和尚」と出会う!?

うんまちゃんが多摩川にいるという情報を追って、編集部は急ぎ駆けつけ、うんまちゃんの足跡を追った。すると、ひとりの男性に行き着いた。

昨日のことだよ、和尚を見かけたんであいさつしようとしたら、和尚はにゃーちゃんに話しかけようとしてるとこだったんだよ。あのにゃーちゃん、不安そうにキョロキョロしてたなぁ。

「和尚」というのは、多摩川のブルーテントで暮らすルンペンの1人で、「落ちこぼれにも一片の清らかさを!」という主張のもと、身なりを整え居住空間を美化することがいかに大切かを唱え、周囲のルンペンからも慕われている人物らしい。

おい、にゃー公。

びくぅっ!

そんなに驚かなくてもなんもしねーわい。おまえさんは、ここがどういう所かわかって来たのか?

ル、ルンペンのソークツ…

はっはっは、随分な言われ方をしたもんだ!

あのぉ、失礼しました。急いでオイトマします。

まあ、待てにゃー公。おまえさん、不思議な雰囲気を持っとるな、まるで風をまとっとるようじゃ。

風をまとってる?わかるんですか!?うんまは風になるんですっ!

うんまってぇのか。わしは名前なんぞとうに捨てちまったが、ここいらのやつらはみんな「和尚」と呼んどるよ。

オショーさん、なんでうんまが風になる修行をしてるってわかったんですか?

そうさなぁ、おまえさんのなかに無を感じたからかのぉ。

ム・・・?ムムム?

そう、無じゃ。風にはなんの意志も目的もない。まさに無を感じさせるものじゃ。

うーん、でも、感じることができてしまったらそれはもうムではないんじゃないですか?

なんとっ!うんま、おまえさんはなんと賢いんじゃ!

えへへ

その通り、感じてしまったらそれはもはや真の無ではない。人間は言葉から生まれ、言葉の中で死んでいく。だから、言葉を使う限りはそう表現せざるを得ないのだ。いったい無とは何なのか、それを知るために、わしはこの人生の落伍者どもの間に入り込み数多の堕落を見てきた。人はとかく無意味なものとして堕落を忌み嫌うが、堕落の中には何もないんじゃない、堕落の中には確かに無が有るのじゃ。「無が有る」というこの矛盾表現を超えた先に真の悟りはある!

スヤスヤ、シュピー

なんだい、寝ちまったのか。安らかな顔してからに。この子は風じゃ。

グゴーグゴー!・・・プシュー!

むぅ、こんな子をわしらの所に寝かせるわけにもいかんしなぁ。そうじゃ、あいつの所にでも連れて行くかのぉ。

そう言うと、「和尚」は寝ちゃってるうんまちゃんを抱きかかえて街の方へと歩いて行ったという。

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