うんまちゃん、川崎を知る
前号でお伝えしたとおり、うんまちゃんはトラック運転手によって川崎まで運ばれた。
今号では、運転手から聞くことのできた、車中での様子や川崎に降りたってからの様子をお伝えする。
「川崎は怖いところだよ」
運転手によると、うんまちゃんが鼻歌まじりに「うんちょけ~り~」と歌うなど、あまりにのほほんとしているので心配になり、車中で川崎という場所ついて注意喚起をしたとのことだ。
「競輪場も競馬場もあるから、借金まみれのギャンブル狂がたくさんいるよ」
「昼から開店している一杯飲み屋には、アル中がたくさんいるよ」
「アル中のジジイより、アル中のババアのほうがたちが悪いから気をつけるんだよ」
「多摩川の近くはルンペンの巣窟だから近寄らないんだよ」
「駅の南側にはいかがわしいお店がたくさんあって、ヤー公が跋扈しているよ」
「駅の西側のスナック街は、中高年の男女の醜い欲望が渦巻いてるよ」
というような話をして、気を引き締めるよう言ったそうだ。
それに対してうんまちゃんは、「ギャンブルキョー、アルチューのババア、ルンペンのソークツ、ヤーコーがバッコ、チューコーネンのミニクイヨクボー」と、ひとつずつ確かめるようにつぶやきながらうなずいていたそうだ。
川崎の地に降りたつ
トラックが川崎に着くと、うんまちゃんは「あーりがとごじゃいました!」とお礼を言ってから、意気揚々とトラックを降りていったそうだ。運転手はすぐに次の仕事場に向かったため、その後うんまちゃんがどこへ行ったのかはわかっていない。
うんまちゃんフアンを襲う2つの不安
うんまちゃんが川崎にいることについて、うんまちゃんフアンの間に2つの不安が湧き上がってくるだろう。
ひとつは、うんまちゃんが川崎の魑魅魍魎にひどい目に遭わされるんじゃないかという不安だ。少年による集団暴行事件や、不良外国人による強盗事件など、ありとあらゆる犯罪が横行する「日本のヨハネスバーグ」川崎。なんらかの事件に巻き込まれやしないか、と不安は募るばかりだ。
そしてもうひとつは、「すぐその気になってしまう」といううんまちゃんの性格に由来する不安だ。
うんまちゃんはすぐに周囲の人物に感化されその気になってしまう。実際に銚子でも老漁師に感化され醤油づくりまで始めてしまった。初めてうんまちゃんの口から「おんどれ」という言葉が発せられたのを聞いた時には面食らってしまったうんも多いだろう。とはいえ、銚子ではその性格が良い方向に働き、銚子の人々に笑顔をもたらしたということもあるので、その性格こそがうんまちゃんの良さのひとつだということはもちろんできる。
ところが、もしその性格が悪い方向に働き、ふていの輩に傾倒するようになってしまえば、犯罪の片棒をかつがされるようなことにもなりかねない。あっという間に不良うんまちゃんの誕生である。犯罪者に身をやつしたうんまちゃんなぞ誰も見たくないだろう。
うんまちゃんが川崎の地に足を踏み出してから数日になる。2つの不安のどちらもともが杞憂に終わることを切に願う。