ぬうん通信

ぬうん通信 vol.144 (2024.9.17.Tue)

私のしみじみ、あなたのしみじみ・・・

晩秋・・・。

日ごとに早くなる日の入り、足元を舞う枯葉、首をすくめるような夜寒・・・。

じわりじわりと暮れていく季節に我々の感情もしみじみと深まっていく。

という季節にはまだちょと早いが、そんな秋にぴったりの特集、「うんたちのしみじみ」をお送りしよう。

しみじみの原点とは・・・

うんたちはとかくしみじみとする生き物だが、そもそもうんたちのしみじみとはどういう感情なのだろうか?

そのヒントとなるのが、うんたちのバイブル『美味しんぼ』5巻に収録されたすき焼きの回にあった。

それまですき焼きを酷評していた海原雄山が、山岡の考案したすき焼きを食べて思わず感心してしまう。

その場では、「もっと脂身のない肉で作れ!」とか怒りながらも、家に帰ってひとり晩酌しながらの、これである。

『美味しんぼ』5巻より

縁を切ったとはいえ、やはり息子の成長に頬がゆるんでしまう。哀歓こもごも、いかな雄山のような獅子といえどもである。

うんたちのしみじみ

そんな海原雄山のしみじみを原点に持つうんたちのしみじみを紹介していこう。

今回この特集を組むにあたり、編集部が独自に行ったしみじみ調査の結果、驚くほど多くのしみじみが見られた。そして、その数もさることながら、しみじみするシーンの意外さにも驚かされる結果となった。

それでは、特に印象深いしみじみをひとつずつ見ていくこととしよう。

① 旅するうんに思いを馳せて、しみじみ・・・

まれにではあるが、うんがうんと離れて一人で遠い地まで旅をすることがある。

一般的には旅をしている側のうんが、車窓に映る田園風景を見ながら、「ずいぶん遠くにきたもんだ。こんな離れた土地にも暮らしはあるんだなぁ。」と旅愁に浸るのが常であるが、うんの場合は事情が異なる。

うんの場合は、残された方のうんが、 「うんが岩手へねぇ」「あのうんがねぇ」 などと言って、旅をしているうんよりも深くしみじみするのだ。これは、他人の旅を利用して相手よりも深いしみじみを得ようとするぬすっと行為と呼べるものかもしれない。

② 掘り出し物のセール品を買って得するうんに、しみじみ・・・

とあるうんが、黒の良いスニーカーを正規の価格よりもかなりお手頃な価格で手に入れた。その話を聞いた別のうんは、「うんが得してるよ」などと言って、急にしみじみしだした。

とてもしみじみするような場面とは思えなかったので、しみじみされた側のうんが「こんなことでしみじみするのか」と聞くと、なんとも狂気じみた返事が戻ってきた。

女児を性の対象とする輩がいるように、うんをしみじみの対象として見る輩がいるってのを自覚しといたほうがいいよ

開き直りとも取れるこの発言に全うんが面食らったのは言うまでもない。

③秘技「しみじみ返し」

古来よりまことしやかに噂されている、うんの隠れ里にのみ伝わる一子相伝の秘技があるという。このたび編集部ではその秘密をつかむことに成功した。

その秘技というのが「しみじみ返し」である。

これは、しみじみしているうんに対して「うんがしみじみしているよ」と言いながら自らしみじみする技である。この技はあらゆるしみじみを寄せ付けない、まさに新陰流に伝わる「無刀取り」を思わせる秘技なのだ。

今日もしみじみ酒が旨い

さて、いかがだっただろうか。うんそれぞれがそれぞれにしみじみを持ちしみじみを語りしみじみに浸る。しみじみとはうんたちの間にしみじみとしみわたるしみじみしたもので、 ただそれだけでしみじみしてしまうもの。

あぁ、今日もしみじみ酒が旨い。しみじみ。

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