ぬうん通信 vol.114 (2021.2.8.Mon)

あなたの近くにも激増！？ 街にはびこる新種うん！①

ここのところ、ぬうん通信編集部には、これまで見たことのないような新種のうんの目撃情報が相次いでいる。

今号から複数回に渡り、新種うんの目撃談を紹介しよう。

①「完全にもうやめちゃった」うん

うんは疲れてしまうと、「もうやめちゃった」と言いながら、自転車に乗っている最中に突然こぐのをやめてしまうことがよくある。この行為自体は、うんが本性的に備えている「運ばれたい」という根源的欲求によるものだと考えられており、基本的に全てのうんが取りうる行為である。

「もうやめちゃった」うんを発見した時、近くにいるうんは慌てながらも背中を押したり、自分の腕に捕まらせたりしながら、なんとかうんの自転車が止まって倒れてしまうのを防がなくてはいけない。突然、やめちゃったうんを運ぶのに苦労をしたうんも多いだろう。

しかし、今回見つかったのは、そんな苦労なぞ足元にも及ばない程に手のかかるうんなのである。

そのうんが目撃されたのは、豊洲近辺の橋が多くアップダウンの激しい地域である。そのうんはアップダウンに疲れてしまったようで、突然、「もうやめちゃった」と言いながらこぐのをやめてしまったのである。それ自体は一般的なうんと変わらないのだが、このうんの驚くべき所は、なんとそれまでペダルの上に置いていた足をピンと広げてこぐのをやめてしまうのである。ペダルの上に足が置かれておらず、非常に不安定な状態でもう完全にこぐのをやめてしまっているため、近くにいたうんも助けるに助けることができずにただオロオロと心配するだけに終わってしまうのだ。

さらに、大変なのはそれだけではない。普通にクルクルとペダルをこいでいたにも関わらず、突然にこぐのをやめてピンと足を広げるその様子があまりにうんらしいので、近くで見ていたうんもすぐにそれをやってみたくなってしまうというのである。すぐにその気になってしまううんたちは、ペダルに足を置くことすら放棄して「完全にもうやめちゃった」うんを見て、「自分も自分も！」とばかりに、同じように完全に「もうやめちゃった」をマネするのである。

「もうやめちゃった」は、そばに運んでくれるうんがいてこそ成り立つ行為である。このまま、新しい形で「完全にもうやめちゃった」が流布していけば、そこかしこで自転車に乗ったままパタリと倒れるうんが続出してしまうだろう。そうなればうんたちの交通事情は著しく悪化しかねない。

だが、現在のところ、この新種のうんの広がりを止める手立てはなく、対策の考案が急務となっている。

①「完全にもうやめちゃった」うん