ぬうん通信

ぬうん通信 vol.109 (2021.1.18.Mon)

特集!傷を負ったうんたち①

世の中にうん多しといえども、たいていのうんは、ぽけっとしたり、すぐにその気になったり、新しい遊びを見つけてはしゃいだり、元気で楽しそうに暮らしている。

しかし、中にはうん生の落とし穴にはまり、深い傷を負ってしまったうんたちもいる。本号では、そんなうんたちを特集する。

手負いうん①「裏切りの歯医者」

うんがみ様の掟により、うんたちはみな「うんの歯科」に行くことになっている。ところが、周知のとおり「ぬうん歯科」では医療ミスが絶えず、ただの歯科検診に行ったにも関わらず、口の中をボロボロにされたうんも数多くいる。

そこで、そんな「うんの歯科」から逃げ出すうんたちもいる。彼らは「逃亡者(のがれもの)おうん」と呼ばれ、それぞれが見つけた歯科に治療に行っているようだ。本来は許されざる「掟の逸脱行為」も事情が事情だけに黙認されているのが現状だ。

それはさておき、「逃亡者おうん」の中には、さらなる悲劇に見舞われるうんもいる。

「私の歯は呪われているんだ」

「うんの歯科」を逃げ出す

都内の会社に勤めるU氏は、「逃亡者おうん」の一人だ。U氏は、医療ミスの続く「うんの歯科」に行くことを恐れ、別の歯医者を探した。その歯医者というのが、「○○○ワ歯科」である。

院内は狭いものの、いくつもの治療台が敷き詰められ、歯を削る音が絶えることなく響いていた。まるで工房のようなこの歯科だが、患者の数も多く治療もスピーディなため、当初は安心して通っていたという。

そんな「タ○○ワ歯科」で何本かの虫歯の治療を受けていたU氏は、特に虫歯の進行していた左下の奥歯に被せ物をすることになった。被せ物にはいくつかの選択肢があり、保険の効く銀歯の他に保険外のセラミックの歯があった。セラミックの歯は10万円ほどするものの、「下の歯は目立ちますよ」という歯科医の勧めもあり、U氏はセラミックにする決断をした。

ある程度虫歯の治療が終わったある日、「タキ○ワ歯科」の開院時間が変更になり、U氏は通えなくなってしまった。ただ、虫歯の治療は終わっているし、歯医者が必要になるのは当分先のことだろうとたかをくくっていた。

無愛想な医者にいい医者はいない

ところが、である。治療が終わってから1年ほどで、治療をしたはずの右上の奥歯がズキズキと痛み出したのである。「タキザワ歯科」にはもう行けないので、U氏は新しい歯科を探すこととなった。そうして見つけたのが、会社の近くの「T's dental クリニック」である。

「初めて行った時から違和感を感じました。担当の歯医者さんがとても無愛想で憎たらしかったんです。」

痛む歯は、保険外の被せ物をした歯とは別の右上の奥歯で、軽い虫歯と判断され樹脂の詰め物をされていた部分である。診察してもらったところ、虫歯の治療が十分でなかったため再び進行しているのだ、という。そこで改めて詰め物を取って消毒をして薬を入れてもらった。

これで安心と思っていたU氏だが、数か月後のある日、その歯に激痛が走ったのである。治療したばかりなのにおかしいと思ったU氏は、無愛想な 「T's dental クリニック」 に戻る気にはなれず、新たな歯科を探した。

信頼できる歯科医と出会うも再び悲劇が・・・

新たな歯科は「リーフ歯科」という歯科である。U氏を担当した歯科医はふとっちょで穏やかな先生であった。雰囲気としてはとても安心のできる先生で、好印象だったという。

さっそく、再び詰め物を取って痛む歯を見てもらったところ、本来入れるべき薬が入っていない、とのこと。虫歯はかなり進行してしまい、虫歯治療の奥の手である、神経を取る治療が必要だという。

「もし数か月前に適正な治療をしていれば、この痛みとリスクを伴う手術は必要なかったかもしれない。」そんな後悔を引きずりながら、U氏は治療に挑むこととなった。

数週間に渡るこの歯の治療の間、U氏は人生最悪の痛みを味わうことになる。痛み止めも効かず、痛みで涙が出るほどだった。あまりに痛むので歯医者に連絡をとって臨時で診てもらい、強い痛み止めを出してもらっても状況は改善せず、その数週間は地獄の日々となった。

さらに悲劇は続く・・・

ようやくの思いで激痛の走る歯の治療を終えたが、どうやら他にも怪しい歯があるという。放っておくとまたあの激痛を味わうことになってしまうと思ったU氏は治療に踏み切ることにした。その怪しい歯というのが、保険外の被せ物をした左下の奥歯である。たしかに、その歯は冷たいものに触れるとキーンとする覚えがあった。

そこで、被せ物を取って診察をしてもらったところ、なんと虫歯が進行しているという。なぜ被せ物をしたはずの歯が痛むのか尋ねると、「被せ物と歯をフィットさせるために、被せ物を削って微調整するのだが、そのときに被せ物を薄く削りすぎたため穴が空いてしまっている。そこから食べかすなどが入って虫歯が進行してしまった」とのことだった。被せ物には穴が空いているので、もう使い物にならず新しい被せ物を購入する必要があるという。

10万円もする保険外の歯が、「タキザワ歯科」のミスによりたった1年ほどで使い物にならなくなってしまったのである。こうして、U氏は再び10万円を支払い被せ物を購入する羽目になってしまった。なんという悲劇だろう。

あの時を振り返って・・・

U氏は自身に降りかかった不幸を振り返ってこう言う。

もちろん、歯の痛みはつらかったですが、それ以上に裏切られたという事実がつらかったですね。もう信頼できる歯医者はこの世に存在しないんだって思いました。私の歯は呪われているんだ、呪われた歯を持つうんとして生きる覚悟をしていました。

歯の悩みのないうんなどいない。U氏の不運は他人事ではないのだ。信頼できる歯科を探す努力を怠ってはならないことをU氏は身をもって教えてくれた。

次回予告「怪物と暮らすうん」

次回も悲劇に見舞われたうんを紹介する予定だ。だが、人ならぬ行為の数々を思い出すにつれて、憤激して書けなくなってしまう可能性が高いので、あくまでも予定である。

-ぬうん通信

Copyright© ぬうん通信 , 2025 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.